to66’s diary

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ルジャンドルとベッセル

 

0.概要

 図書館でルジャンドル関数などについての本

演習形式で学ぶ特殊関数・積分変換入門

を借りました。この本を明日返すつもりなので、いつでも思い出せるように書き残しておきます。

 この記事で微分方程式の解き方を学び、次の記事で水素原子のシュレリンガー方程式を解きます。(追記:気が向いたらにします。)

 

演習形式で学ぶ特殊関数・積分変換入門

演習形式で学ぶ特殊関数・積分変換入門

 

 

1.プロローグ)物理と数学と私

 物理学書を読んでいて急に理解できない数式が出てくると、「もう無理。やめたい。」となり、その本を放り投げます。本と同時にその分野まで投げ捨ててしまいます。「私にはこんな高尚な物理を理解できる頭がない」と。

 最近、量子力学に無力感を感じなくなりました。まあ、ニュートン力学ほど感覚で理解している訳じゃないけど、そこそこ仲良くなったと思います。私と量子力学のキューピットは数学でした。まじめに行列の計算をすると、ちゃんと答えてくれる。

 量子力学と友達になって、世界が開けました。みんなと友達になれるんだ!私たちは数学という言語を通して、対話できる。

 

 最初の話に戻ります。私がわからなかったのは、物理学ではなく数学でした。だから数学を勉強すればいいのだ。そしてうれしいことに物理学のために必要な数学はとても少ない


平松愛理 - 「部屋とYシャツと私~あれから~」Music Video

 

2.物理数学は2階線形偏微分方程式だけしか出てこない!

 物理学で出てくる方程式はだいたい同じ形をしている。その形とは、2階線形偏微分方程式です。

例1)ニュートン運動方程式

$$m\frac{d^{2}x}{dt^{2}}=F$$

例2)ラプラス方程式

$$\nabla^{2}\psi=0 $$

例3)波動方程式

$$\frac{1}{c^{2}}\frac{\partial^{2}\psi}{\partial t^{2}}=\nabla^{2} \psi $$

例4)シュレリンガー方程式

$$i\hbar \frac{\partial \psi}{\partial t}=\big(-\frac{\hbar^{2}}{2m}\nabla^{2}+U\big)\psi $$

 だいたい同じ形なので、数学的にもだいたい同じように解ける。(系統的に説明するなら、すべて超幾何関数に帰着される。特殊函数 (岩波全書 252)

 

特殊函数 (岩波全書 252)

特殊函数 (岩波全書 252)

 

 

 

3.2階線形偏微分方程式の解き方

2階線形偏微分方程式を解く大まかな流れは

  1. 変数分離
  2. 各変数について頑張る

です。そして、2の頑張りがルジャンドル関数 or ベッセル関数 or それ以外である。だから、数学にそこまで興味のない人は

  1. 変数分離
  2. 各変数についての解 = ルジャンドル関数 or ベッセル関数 or それ以外

という認識で間違いない。つまり、2階線形偏微分方程式に対して我々がすべきことは、どんな時にルジャンドルで、どんな時にベッセルが解になるかを覚えることです。

 

4.どんな時にルジャンドルで、どんな時にベッセル?

 結論から言いましょう。球座標のときがルジャンドル、円筒座標のときがベッセルです。一例として、ラプラス方程式を解いてみます。

$$\nabla^{2}\psi=0 $$

 比較として、直交座標のときの解き方も書きます。

4-1.直交座標のラプラス方程式

$$\big(\frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}}+\frac{\partial^{2}}{\partial y^{2}}+\frac{\partial^{2}}{\partial z^{2}}\big)\psi(x,y,z)=0$$

変数分離$$\psi(x,y,z)=X(x)Y(y)Z(z)$$を用いる。と同時に両辺$$XYZ$$で割ると$$-\frac{1}{X}\frac{d^{2}X}{dx^{2}}=\frac{1}{Y}\frac{d^{2}Y}{dy^{2}}+\frac{1}{Z}\frac{d^{2}Z}{dz^{2}}$$

左辺はxの変数、右辺はyとzの変数なので、=が成立するためには両辺とも定数でないとダメ。(逆に言うと、変数で=になることはない。)だから$$右辺=m^{2}$$とおける。よって解くべき式は $$\left\{\begin{array} x\frac{d^{2}X}{dx^{2}}=-m^{2}X \\ \frac{1}{Y}\frac{d^{2}Y}{dy^{2}}+\frac{1}{Z}\frac{d^{2}Z}{dz^{2}}=m^{2} \end{array}\right.$$第2式は$$ -\frac{1}{Y}\frac{d^{2}Y}{dy^{2}}=\frac{1}{Z}\frac{d^{2}Z}{dz^{2}}-m^{2}$$左辺はyの変数、右辺はzの変数なので、=が成立するためには両辺とも定数でないとダメ。だから$$右辺=n^{2}$$とおける。結局$$ \left\{\begin{array} x\frac{d^{2}X}{dx^{2}}=-m^{2}X \\ \frac{d^{2}Y}{dy^{2}}=-n^{2}Y\\ \frac{d^{2}Z}{dz^{2}}=(m^{2}+n^{2})Z \end{array}\right.$$

よし解ける形になった。X,Y,Zの解がexpの形になることがわかる。

 

4ー2.球座標のラプラス方程式

 4-1の直交座標から球座標に変換する。(詳しくは三次元極座標のラプラシアン)ちなみに、ここで$$\left\{\begin{array} xr>0 \\ 0\leq\theta<\pi\\ 0\leq\phi<2\pi \end{array}\right.$$の条件が付く。

$$\big[\frac{1}{r^{2}}\frac{\partial}{\partial r}\big( r^{2}\frac{\partial}{\partial r}\big)+ \frac{1}{r^{2}}\frac{1}{sin \theta}\frac{\partial}{\partial \theta}\big( sin \theta \frac{\partial}{\partial \theta}\big) + \frac{1}{r^{2}}\frac{1}{sin^{2}\theta} \frac{\partial^{2}}{\partial \phi^{2}}\big]\psi(r,\theta,\phi)=0$$ これを$$\psi(r,\theta,\phi)=R(r)\Theta(\theta)\Phi(\phi)$$を用いて変数分離して解くと、等号成立は両辺が定数になるときなので、$$-\frac{1}{\Phi}\frac{d^{2}\Phi}{d \phi^{2}}=\frac{sin^{2}\theta}{R}\frac{d}{dr}\big( r^{2}\frac{dR}{d r}\big)+ \frac{sin \theta}{\Theta}\frac{d}{d \theta}\big( sin \theta \frac{d\Theta}{d \theta}\big)\equiv m^{2}$$いろいろ計算するとθに対してルジャンドル関数になる。

 

4-3.円筒座標のラプラス方程式

 数式書くのが面倒になってしまったので、ここで中断して、また気が向いたら書きます。でも、書きたかったことは、球座標→ルジャンドル・円筒座標→ベッセルだけで上に書いたので十分かと思います。読んでくれてありがとうございました。