電流には3種類ある!
0.概要
この本
を読んで学んだことを書きます。
電流には3種類ある。
- 対流電流
- 伝導電流
- 変位電流
以下それぞれについて解説していきます。
1.対流電流とは、ボール投げ
3種類の電流のうち最もイメージするのが簡単なのが、対流電流だと思います。電子がビューンと飛んでいくのが対流電流です。
ボールが飛んでいく。そのボールが電荷を持っていたら、「対流電流が流れた」といいます。
対流電流は熱力学で言うところの「熱対流」と似ています。似ているというか熱対流から名前を採ったっぽい。熱対流とは熱い空気が上に、冷たい空気が下に行く現象のことです。熱対流では熱を運ぶ空気が実際に動いています。
熱対流になじみがない人へ(動画は25分。適当に見れば10分で理解できます。)
2.伝導電流とは、ドミノ倒し
中学校で習う電流は伝導電流のことです。導線に電流が流れるメカニズムは以下の通りです。
- 電池が導線内に電界をかける
- 導線内に存在する電子が電界を感じ、少し動く
- 少し動いた電子が隣の電子と衝突
- 衝突した電子がその隣の電子と衝突
- ドミノ倒しのように3~4を繰り返す
ポイントは電子が動かないことです。ぜひ対流電流と比較してください。
伝導電流は熱力学で言うところの「熱伝導」とよく似ています。熱伝導とは、料理中のフライパンの持ち手部分が熱くなる現象です。コンロはフライパンの底しか温めていないのに、その熱が伝わって(伝導して)持ち手まで熱くなるのです。
より詳しく言えば、「熱い・冷たい」とは、分子の振動が「激しい・おとなしい」のことなので、フライパンの底の分子が隣の分子と衝突して、ドミノ倒し式に衝突を伝えていき、結果持ち手の分子まで激しく振動するのです。
熱伝導の場合でも、分子は動かないのです。ぜひ熱対流と比較してください。
3.変位電流とは、
変位電流は伝導電流・対流電流とは趣向が異なります。伝導電流・対流電流は電子に注目していましたが、変位電流は電子に注目しません。じゃあ、何に注目するか?
空間です。「その空間の電界が強くなった・弱くなった」に注目します。
平板コンデンサがわかりやすいです。
(i) 電池をつないでないとき、当然平板間に電界は存在しません。
(ii)電池をつなぐと
電池をつないでない状態(i)と電池をつないだ状態(ii)を比べると、平板間の空間では電界が増加している。これを「変位電流が流れた」といいます。
日本語の問題ですが、これは電界が「増えた」だけで、「流れた」感がないのが気になりますね。これはおそらく変位電流の表現を伝導電流・対流電流に合わせたためだと考えられます。
4.まとめ
4-1.平板コンデンサを例にしてまとめ
平板コンデンサを用いて、3種類の電流をまとめてみたいと思います。まず、電池をとき、真っ先に流れるのは伝導電流です。そして、平板に電荷が貯まることで、平板間に変位電流が流れます。さらに、電荷が貯まっていくと、おそらく絶縁破壊が起こり、平板間の空間を電子が飛びます。つまり、対流電流が流れます。
図中①:対流電流 ②:伝導電流 ③:変位電流 を表します。
4-2.熱力学との比較でまとめ
熱力学との比較で電流の3種類をまとめると
こんな感じかな?変位電流が熱放射に対応するというのは私の意見で、本には書いていません。ただ、どちらも光の発生源になれるという点で、私には蜜月な関係があるように思えます。皆さんはどう思われるでしょうか?