to66’s diary

ぜひ気軽にコメントしてください。

電流には3種類ある!

 

0.概要

 この本

電磁波とはなにか―見えない波を見るために (ブルーバックス)

電磁波とはなにか―見えない波を見るために (ブルーバックス)

 

を読んで学んだことを書きます。

 電流には3種類ある。

  1. 対流電流
  2. 伝導電流
  3. 変位電流

以下それぞれについて解説していきます。

 

1.対流電流とは、ボール投げ

 3種類の電流のうち最もイメージするのが簡単なのが、対流電流だと思います。電子がビューンと飛んでいくのが対流電流です。

 ボールが飛んでいく。そのボールが電荷を持っていたら、「対流電流が流れた」といいます。

f:id:to66:20191227192258p:plain

ピッチャー

 対流電流は熱力学で言うところの「熱対流」と似ています。似ているというか熱対流から名前を採ったっぽい。熱対流とは熱い空気が上に、冷たい空気が下に行く現象のことです。熱対流では熱を運ぶ空気が実際に動いています。

 

 熱対流になじみがない人へ(動画は25分。適当に見れば10分で理解できます。)


熱の伝わり方(伝導・対流・放射)

 

2.伝導電流とは、ドミノ倒し

 中学校で習う電流は伝導電流のことです。導線に電流が流れるメカニズムは以下の通りです。

  1. 電池が導線内に電界をかける
  2. 導線内に存在する電子が電界を感じ、少し動く
  3. 少し動いた電子が隣の電子と衝突
  4. 衝突した電子がその隣の電子と衝突
  5. ドミノ倒しのように3~4を繰り返す

  ポイントは電子が動かないことです。ぜひ対流電流と比較してください。

f:id:to66:20191227190234p:plain

並列回路

 

 伝導電流は熱力学で言うところの「熱伝導」とよく似ています。熱伝導とは、料理中のフライパンの持ち手部分が熱くなる現象です。コンロはフライパンの底しか温めていないのに、その熱が伝わって(伝導して)持ち手まで熱くなるのです。

 より詳しく言えば、「熱い・冷たい」とは、分子の振動が「激しい・おとなしい」のことなので、フライパンの底の分子が隣の分子と衝突して、ドミノ倒し式に衝突を伝えていき、結果持ち手の分子まで激しく振動するのです。

 熱伝導の場合でも、分子は動かないのです。ぜひ熱対流と比較してください。

 

3.変位電流とは、

 変位電流は伝導電流・対流電流とは趣向が異なります。伝導電流・対流電流は電子に注目していましたが、変位電流は電子に注目しません。じゃあ、何に注目するか?

 空間です。「その空間の電界が強くなった・弱くなった」に注目します。

 平板コンデンサがわかりやすいです。

(i) 電池をつないでないとき、当然平板間に電界は存在しません。

(ii)電池をつなぐと

  1. 導線を伝導電流が流れる
  2. 片方の平板に正電荷が、もう片方の平板には負電荷が貯まる
  3. 平板間に電界ができる

電池をつないでない状態(i)と電池をつないだ状態(ii)を比べると、平板間の空間では電界が増加している。これを「変位電流が流れた」といいます。

 日本語の問題ですが、これは電界が「増えた」だけで、「流れた」感がないのが気になりますね。これはおそらく変位電流の表現を伝導電流・対流電流に合わせたためだと考えられます。

 

4.まとめ

4-1.平板コンデンサを例にしてまとめ

 平板コンデンサを用いて、3種類の電流をまとめてみたいと思います。まず、電池をとき、真っ先に流れるのは伝導電流です。そして、平板に電荷が貯まることで、平板間に変位電流が流れます。さらに、電荷が貯まっていくと、おそらく絶縁破壊が起こり、平板間の空間を電子が飛びます。つまり、対流電流が流れます。

 図中①:対流電流 ②:伝導電流 ③:変位電流 を表します。

f:id:to66:20191227195637j:plain

見づらくて申し訳ありません

 

4-2.熱力学との比較でまとめ

 熱力学との比較で電流の3種類をまとめると

f:id:to66:20191227203402p:plain

比較

こんな感じかな?変位電流が熱放射に対応するというのは私の意見で、本には書いていません。ただ、どちらも光の発生源になれるという点で、私には蜜月な関係があるように思えます。皆さんはどう思われるでしょうか?