ふたを開けたお酒のアルコールは飛ぶ?
ふたを開けたお酒のアルコールは飛ぶ?
アルコールって揮発性ですぐ蒸発するらしいけど、具体的にどれくらいの速度なのか?500mL缶ビールをどれくらい放置していたらアルコールが無くなるのか?
調べてみました。
結論:500mL缶ビールは、栓を開けて74時間後にアルコールがすべて無くなる。
覚え方は川柳風に「五百缶 栓を開ければ あとは 74 」
計算過程
純粋エタノールが蒸発する速さを求める
ご存知かと思いますが、我々が普段アルコールと呼ぶものは正確にはエタノールです
いきなり水ーエタノール混合溶液を考えるのは大変なので、まずエタノール100%から考えます。世界一強いお酒「スピリタス」のような場合ですね。
純物質が蒸発する速度は次の式で推定できるらしい*1
- : 蒸発する速さ()
- : 拡散係数()
- : 飽和なときのモル濃度()
- : 室内のモル濃度()
- : 境膜の厚さ()
細かい説明は脚注*1を見ていただくとして、ここでは具体的に計算してみます。
必要な数値は
値 | |
---|---|
298Kで ()*2 | |
飽和蒸気圧が ()*3なので、理想気体の状態方程式を使って () |
|
アメリカのノースカロライナ州ウィルミントンのデータですが ()*4。これと密度 ()及びモル質量 ()を使って、 () |
|
よくわからないけど脚注*1と同じにします () |
これらを先の式に代入すると、
()
グラム表記に直しておきます
()
ちなみに、脚注*1に水の蒸発する速さ ()とあるので、エタノールの方が6倍くらい早く蒸発するのですね。
混合溶液の場合
基本的には混合割合を掛ければ良いようです*5。その理由は次のように説明できると思います。
水分子70個とエタノール分子30個を混ぜた溶液の場合、空気に触れている分子が10個あるとすると水分子7個とエタノール分子3個のはずだ。だから、エタノール分子100個の純粋溶液のときの倍の速さで蒸発することになる
脚注*5にあるようにもっと考慮すべきことがあるみたいですが、面倒ですし、ここではざっくりとしたことが知りたいだけなので、いいでしょう。
500mL缶に適用
さて問題の500mL缶ビールに適用してみましょう。
500mL缶ビールは
- 量500mL
- アルコール度数は5%
ですので、全部で25mL。グラムに換算すると19.725gのエタノールが含まれます。
缶の半径は3.35cm*6なので液面は()
計算すると水26.3molエタノール0.429molなので、モル比率は0.016
19.725gのエタノールすべてが蒸発する時間t[s]としますと、
が成り立ちます。先ほど求めた蒸発速度を代入し、tを求めると
()
秒を時間になおすと、
()
求められました。よかたよかた。もしかしたら間違っているかもしれません。その時はコメントしていただけると幸いです。